英語のリーディング対策、速く読むコツは「前から訳す」?「かたまりで読む」?

大学受験やTOEICなどの試験対策には、必ず出てくるのが長文問題。

一文一文の長い、関係代名詞を多用した文章は、見るだけで嫌になりますね。

複雑な構造をしていなくても、まとまった英文を 

「もっと速く読めたらいいのに・・・」

と思っている方は多いのではないでしょうか。

今回は、英文を速く読む方法についてお伝えしますね。

もくじ

英文を速く読む!そのコツは?

英語の試験では、

限られた時間で英文をササッと読み、

読んだ内容をもとに解答することが必要ですね。

だけど、

  • 英文を日本語に翻訳しようとすると後ろから前に読んでしまう
  • 何度も何度も読み返してしまう

だから、制限時間をオーバーしそうになって、自信はないけど勘でこたえてしまう。

といったことになりかねません。

英文を速く読むためには、これらの逆をする必要があります。

つまり、

  • 前から訳す
  • 読み返さない

その為に必要なスキルが、スラッシュリーディングです。

スラッシュリーディングとは

文の構造をつかみながら、区切り(スラッシュ)を入れて「かたまり」で意味をつかんでいくリーディング手法です。

とても有名なので習ったことがある人は多いはず。

この方法で読むことができれば、英文を頭から理解し、かたまりを捉えながら読めるので、スピードがあがるんですね。

「かたまりで読む」

スラッシュリーディングでは、区切りを入れたところまでを読む対象にします。

例えば、このマーク・トウェインのこの文章に:

There are several kinds of stories, but only one difficult kind—the humorous. I will talk mainly about that one. The humorous story is American, the comic story is English, the witty story is French.  (“How to Tell a Story and Others” by Mark Twain)

区切り(スラッシュ)を入れてみると:

There are / several kinds of stories, / but only one difficult kind / —the humorous. / I will talk / mainly about / that one. / The humorous story is / American, / the comic story is / English, / the witty story is / French.  (“How to Tell a Story and Others” by Mark Twain)

こんな感じでしょうね。

【コラム】マーク・トウェインって誰?

マーク・トウェインといえば『トム・ソーヤーの冒険』を書いた人です。ちなみに彼はユーモアのセンスが最高!

例えば、

“Giving up smoking is the easiest thing in the world. I know because I’ve done it thousands of times.”

(スラッシュ風に訳すと:

禁煙は / 最も簡単なこと / この世の中で。

私は知っている / なぜなら / それ(禁煙)をやった / 何千回も。

ね、おもしろいでしょ。

スラッシュを入れる箇所は?

「どこにスラッシュを入れればいいんだろう」

そう思って検索してみると、

  • 前置詞句の前後
  • カンマやセミコロンの後
  • that節の前、関係代名詞の前
  • 接続詞の前など

細かな説明をしているサイトが山のようにあります。

が、

わからないうちは、なんとなくでいいので、意味のカタマリっぽいところで区切ってみてください。

(そういえば、高校のときに先生に区切り方がおかしいと責められたことを思い出しました。多分、あの先生より英語できるようになっちゃったかも・・・)

「前から訳す」

区切ったら、文章の前の方から順番に、スラッシュごとに意味を捉えていきます。

さっきのマーク・トウェインの文章でやってみると:

There are (ある)/ several kinds of stories,(いくつかの種類のストーリー) / but only one difficult kind(が、たった一つ難しい種類) / —the humorous.(ユーモアのあるやつ) / I will talk(私はこれから話す) / mainly about(主に~について) / that one.(そのストーリー) / The humorous story is(おもしろいストーリーは) / American,(アメリカ) / the comic story is(コミック調のストーリーは) / English,(イギリス) / the witty story is(気の効いたストーリーは) / French.(フランス)  (“How to Tell a Story and Others” by Mark Twain)

こんな感じですね。

きれいな日本語訳にはならないですが、なんとなく意味はつかめますね。

ポイントは、

区切りごとの英語を日本語の文章ではなく、イメージでとらえていくこと。

それだけです。

むずかしく考える必要は、全くありません。

ピアノを習ったらスラッシュリーディングがわかった!

スラッシュリーディングが効果的なことは、誰もが言っていることですよね。

僕は、スラッシュリーディングをはるか昔に攻略し、完全な英語脳で英文を読み漁っています。

そんな僕自身のスラッシュリーディングのイメージは、

楽譜を読みながら、ピアノを弾いている

その感覚とよく似ています。

「は? 楽譜? ピアノ?」

そう、英語は話し言葉ですから、音楽と共通していることが多いんですよね。

音楽と英語の共通点

楽器を弾くことを習った経験がある人ならわかるはずですが、

音楽は、この世の中で最も美しく洗練された芸術だと言われています。

その理由は、「後に残らない」からです。

一瞬一瞬で奏でられるメロディー(音)は、録音して残すことはできますが、カタチとして捉えることができません。

その場で楽しむこと。

音楽が流れたその瞬間を二度と取り戻すことができない。

この感覚で、英文を読んでみるんです。

一小節は、スラッシュで区切ったカタマリと同じ

ピアノを習っているときに、間違えたら最初からやり直しを繰り返していたら、先生にひどく怒られました。

音楽は、一旦スタートしたら後戻りできない。だから、間違えても前に進むことが鉄則です。

本当は、「ソ」の音なのに、「ファ」を弾いてしまった。

だけど、その小節は二度と演奏することはせず、次の小節に移るんです。

その間違いにフォーカスし過ぎると、音楽として成り立たない気がします。

では、観客としてどちらの演奏を聞きたいですか?

  1. 間違えた音を弾いたために止まって、最初から弾き直し。3回目にやっと完璧に弾けたもの
  2. 全体の中では、3~4回の音の間違いはあったが、1回でスムーズに演奏されたもの

絶対に2の方がいいですよね。

(プロになれば、間違いをごまかすのも上手くなるみたいですが・・・)

スラッシュリーディングも同じ要領で、ひたすら前に読み進むんです。そうすれば、読み返して時間を浪費することはありません。

あとは訓練して、読解力を上げていくわけです。

スラッシュリーディングのメリット

スラッシュリーディングができるようになると、

英語の語順通り、頭から読むことができます。

だから、後ろから前に訳していく方法をとらずにサクサクと読み進められます。

区切りをつけて読むことで、英文をカタマリで認識できるようになります。

すると、目を動かす範囲が広くなって、速く読めるようになります。

といったメリットがある反面、実はデメリットもあると批判する人たちがいます。

スラッシュリーディングに対する批判

ルールを厳守する真面目な人が多い日本では、スラッシュリーディングが神聖化されすぎて、かえって悪影響を及ぼしてしまうケースがあります。

具体的には、

  • スラッシュを引く場所に悩む
  • 「正しい」スラッシュの引き方かどうか自信が持てない
  • スラッシュを引くことに気を取られて、読んでいる内容に集中できない
  • スラッシュを引いただけで、読んだ気になってしまう。

こんなところでしょうか。

スラッシュを引く場所や「正しい」スラッシュの引き方に悩む

スラッシュの引き方について、先生に習ったことがある人は想像がつくと思います。先生によっては、スラッシュを引く場所を限定することがあります。

日本語でも「句」や「節」といった考えがありますが、文字の分け方は人それぞれです。

そして、自由です。

ただ、英語の場合は、たくさんの英文に触れていないために、英文の「感覚」が養えていない。だから、ルールが必要になるんですね。

本来なら、あなたを助けるためのルールに縛られてしまうわけです。

これはスラッシュリーディングに限った話ではありません。

文法や発音などのルールについても言えます。

スラッシュを引くことに気を取られて読んでいる内容に集中できない

「さぁ、スラッシュリーディングだ!」

と意気込んで読み始めたはいいものの、スラッシュを引く行為そのものに熱中して、英文の意味がわかっていない。

そんな事態も発生しそうですね。

スラッシュを引いて読んだ気になってしまう

「俺のスラッシュ、完璧や!」

とスラッシュを引いた自分に満足して、読んだつもりになってしまう。

内容を問われても、結局は全く読んでいない。

こんなこともありそうですね。

「前から」&「かたまりで」読む!そのコツは、ネイティブ用の速読法にあった!

スラッシュリーディングの「正しいやり方」から少し離れて、ネイティブが速読の訓練に使うソフトをちょっと覗いてみましょう。

これから紹介するサイトでは、速読したい文章を入力すると、任意の文字数だけを頭から順番にパッパッと切り替えながら表示してくれます。

AccelaReader

これは、速読の訓練ができるウェブサイトです。

「BEGIN」という緑のボタンをクリックすると、以下の画面に変わるので、赤い〇で囲った「Read」という箇所をクリックしてみてください。

最初の設定では、一分間に300文字を読むスピード(1秒に5文字)で、1文字ずつ表示されます。

「Read」の右側のボタンで、一度に表示する文字数を変えられます。

速読の得意な人は、視野を広める訓練をしているので、一度に読む(目に入る)文字数が多いんですよね。

スラッシュリーディングと速読を掛け合わせる

速読訓練の方法を活用すれば、スラッシュをどこに入れるかを悩む必要はありません。

例えば、文字数を3語に設定して、前から3語ずつ見ていけばいいんです!

とってもシンプルです。

この方法では、意味のかたまりを無視していますから、最初はむずかしく感じるでしょう。しかし、慣れてくれば、英語を前(頭)から読んでいく感覚が身につきます。

これって、リスニングにも効果を発揮するのでは・・・

英語をリスニングするときは、文字の情報がないですから、次にどの単語が出てくるのかわからないですよね。

だから、この速読訓練は、リスニングの感覚を養うことにも役立ちます。

まず全容をつかんでから、細部を把握したいときにはイライラして時間がもったいないですが、英語を英語のまま理解したり、英語の語順感覚を身につけるには最適です!

スラッシュより大切!TOEICや大学受験に効く長文読解のコツとは?

論理的な文章には、パラグラフ・リーディング

スラッシュリーディングや速読ソフトを使えば、英語脳や英語感覚が身につくのは間違いありません。

しかし、TOEICのパート7や大学受験の長文読解に活用するには、時間がかかりすぎます。

なぜなら、論理的な文章は、小説などのフィクションと違い、型があるからです。

論理的文章の型に沿った読み方をパラグラフ・リーディングと言います。

論理的文章の構造にマッチした読み方

一つの文章は、いくつかのパラグラフから成り立っています。

パラグラフというのは段落のことです。

一つの段落で最も大切なポイントは、一番最初の文章にかかれています。

これをトピックセンテンスといいます。

この仕組みを活用しない手はありません。

つまり、

長い文章を読むときは、一つの段落の最初の文章(トピックセンテンス)だけを読んでいけばいいんです。

それだけで、大体の内容は把握できます。

長文をすらすら読み解く方法

長文読解は、読まされる内容もむずかしいものが多いので、嫌いな人が多いですよね。

だから何とか楽に読んで攻略したいはずです。

では、どうすればいいのか?

急がば回れ?!やっぱり「多読」が最強だけど・・・

あたりまえのことですが、

読むことを得意にするために必要なのは、やっぱり訓練です。

しかし、むずかしいものばかりを読んでいると、知らない単語に遭遇する確率が高いですよね。そうすると、

辞書を引く手間が増える

億劫になる

読むことをやめる

苦手になる

こんな悪循環に陥ります。

ということは、自分のレベルよりも低い英語にたくさん触れて、英語の構造に慣れていくことが重要です。

時間がない!そんな人は「文法」や「英文の構造」理解から

たくさんの英語の文章に触れて・・・

「なんて悠長なことは言ってられないんだよ!」

そう思われている方は、文法書などを活用して、英語の構文を頭に叩き込むことをお勧めします。

言語の成り立ちを分析したルール集、それがそもそもの文法の役割ですから、近道を求めている人には絶対に必要なものです。

ここまで英文を速く読むためのコツや方法について述べてきました。

必要なのは、コツをつかんで「読んで読んで読みまくること」。

ただ闇雲に読むのではなく、コツやヒントを得てもらえたら嬉しいです!

この記事を書いた人

「英語が大好きだから、英語学習について発信してみたい。。。」

そう思ってこのブログを書き始めてみたものの、5記事くらい書いた時点で違和感を覚え始めました。

僕が本当に発信したいのは、英語の学習法だけではなく、英語を日常的に使うことで見えてくる「その先の世界」のこと。

ネイティブ・スピーカー&プロのライターが書くような、リアルでナチュラルな英語。

それは、日本で出版されている英語の教科書に出てくるような極めて退屈(boring)なものではありません。

勿論、初心者のうちは、どのような英語がリアルでナチュラルなのか、わからなくて当然です。

しかし、大量にインプットしていくと、ナチュラルな英語を感じ取るセンスが身に付いてきます。

なので、

英語のスキルが一定レベルを超えた瞬間に、「日本」という国・枠組みを飛び出して「世界」「海外」へ目を向けてみて欲しい。

そんな思い・考えを、このブログを通じて伝えられたら嬉しいです。

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